節税をどう考えるか

「上手にやりくりしましょう」
基本的に、儲かっていればあまり節税ができないと覚悟しておきましょう。何としても税金は納めたくないという人もおりますが、そうなると確定申告の資料において信憑性が乏しくなり、税務署に目をつけられるどころか、次から金融機関の融資が下りなくなる可能性もあります。これでは今後の投資戦略にも影を落としてしまうでしょう。計上できる経費(広告料・維持管理費・青色申告専従者給与・固定資産税・蛍光灯などの備品費・共用部の水道光熱費・滞納などの未収金・補修費や追加設備料金・書籍費・物件までの交通費などなど)は決まっています。その中で上手に経費を増やし、利益を抑えて、上手にやっていきましょう。
節税が目的での物件保有であれば、空室が目立っていたり、入居者の滞納額が大きくなったとしても、損金として経費で落すことが可能になるため、充分に節税効果が見込まれます。それでいてある程度の年数が経過してから、売却しても良いでしょう。その際に買値よりも低い価格だと、やはりその差額を経費で落すことができるため、支払う税金を軽減させることが可能です。金融機関からの借り入れをして保有した場合は、節税をしながらも、ローン完済後には手元に抵当権のつかない不動産が残っているということも期待できます。その不動産を担保に新たにローンを組んで、別の投資に進んでいくこともできるわけです。
あるいは、節税目的での保有を終えたときに、更地にして改めて新築を建て、収益を得ていくという方法も考えられます。建物などは価値が減りますが、土地自体は基本的に減りません(もちろん市場にもよりますが)ので、その部分を加味しながら、節税計画・投資計画を立てていってもよいでしょう。さらに、応用編として、個人での物件購入後、自分で持っている法人に管理をさせたり、建物部分だけを買い取らせたり、一括転貸(サブリース)をさせたりしながら、所得や納税額を調整するというテクニックもあります。

減価償却を制する者は

「不動産投資で、これを使わない手はない」
不動産投資におけるファイナンスからみた醍醐味は、何と言っても減価償却でしょう。これは不動産投資に関するものであれば、どの本にも書いてあるはずです。今更なんだと思われるかもしれませんが、この減価償却の恩恵というのは、自分で実際に味わってみなければわからないもののようです。他の資産づくりにおいてはあまりない考え方ですし、紙に書いてあるものを読んで理解しようとしてもなかなか実感しにくいものではないでしょうか。
単純に言えば、減価償却とは、年々失われていく資産価値を経費として損金計上できるというものです。これにより帳簿上所得が減ることになり、その分支払う税金が軽減されていきます。所得が減るのは帳簿上のことだけであり、現金が減っていくわけではないので、手元に残る金額は基本的に変わりません。建物と設備を分けて計算することも可能ですし、それにより償却期間が変わってくるため、計上する額の調整も可能になります。
もちろんかなり古い物件であれば、償却期間が過ぎてしまっているものもあり、減価償却の対象になりませんが、一般に木造であれば22年、RCで47年にわたって、経費計上できます。やり方としては、定額法と定率法の2種類があり、どちらにするか迷うこともありますが、法定耐用年数を満たした場合の、減価償却費の累計は、どちらもほぼ同じになるように設定されていますので、ずっと保有していくということであれば、どちらでも良いということになります。ただ予め、中途で売却する、あるいは不動産投資は中古物件の購入を中心に進めていくと決めている場合には、詳しい内容はここでは省きますが、「所有期間の初期は定率法の償却費のほうが多く、後期は逆に定額法のほうが大きくなっていく」ということになります。
繰り返しますが、減価償却とは、建物などの固定資産において失われていく価値をお金に換算して、その分は経費として参入できるというものです。例をあげてみると、新築で3千万円(建物のみの価格)の木造アパートは、定額法で3千万円に決められた償却率0.046をかけて、出てきた138万円が毎年の償却費となり、それを22年経過するまで毎期経費計上していくことになります。
設備などで定率法を使うのであれば、計算式は
減価償却費=(取得価額 - 過去の償却の累計)×償却率
となり、これも定められた期間(設備によって異なってくる)経費計上していきます。キャッシュを保持していくには、この減価償却を利用しなくてはなりませんし、儲かっているのに税金がかからないというマジックのような仕組みを使わない手はありません。「支出を伴わない経費」として大いに活用していきましょう。

融資(最新情報も)

融資について  「どこまで借りるか、借りられるか」
不動産を購入する際に、どこまで資金を借りるかという問題があります。全額融資を受けるフルローンであれば、毎月の返済額が大きくなるため、どうしてもキャッシュのリターンが少なくなり、今後金融資産を作れないと、また次もフルローンで購入するしかないという事態にもなります。またフルローンを出してくれるような物件というのは少ないため、なかなか不動産投資を始められないという場合もあります。一般に中古物件ではフルローンはつかないため、高利回り物件を所有しようとしても自己資金が相当額ないと、動きにくく、ステップアップする前で踏みとどまっているケースもあります。ある程度預金を増やし、自己資金として頭金を差し出すことができれば、返済額が軽減するため、手残りする現金も多くなり、次の手が打ちやすくなります。銀行もその辺を見ますので、ローンがその分つきやすくなります。やはり「現金」というのは強く、不況になって融資がつきにくくなるほど、キャッシュの価値が大きくなるので、その部分でも計画的に考えていく必要があるようです。投資初心者の方で、いきなり数千万円の自己資金を持っているというケースはほとんどないのですが、種銭として数百万円くらいは用意しておきたいものです。もちろん投資家の属性(年収などの個人データ)によっては融資金額に差が出てくるケースもあるので、一概には言えないのですが、できるだけ多くの自己資金を用意しておきたいものです。
今後、融資情報や金利などについても掲載していく予定です。